庄野潤三さんの読書日記

メジロの来る庭

[rakuten:book:11252699:detail]このシリーズ、だんだんと情感的になってくる気がする。 庄野さんの作品ではこれまで、気持ちをあらわす言葉にはきわめてシンプルなものが使われてきた。「おいしい」「うれしい」「かなしい」「ありがとう」。それが登場する…

丘の明り

『丘の明り』 昭和50年 筑摩書房刊 昭和38年から42年にかけて発表された短編をまとめたもの。 『冬枯』 昭和40年 『行きずり』 〃 40年 『まはり道』 〃 41年 『つれあひ』 〃 40年 『秋風と二人の男』〃 40年 『山高帽子』 〃 42年 『石…

庭の小さなばら

庭の小さなばら作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る庭のつるばら (新潮文庫)作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/01/29メディア: 文庫購入: 1人 クリック…

前途

『前途』 昭和43年 講談社刊豊かな本。 これは庄野さんの九州帝国大学在学中の日記をもとにして書かれた作品。ここに登場する学生たちは、みんな豊かだ。戦争中で、いつ仲間に、そして自分に動員令が下るかもしれないけど、下宿暮らしで貧しいけど、毎日ビ…

エイヴォン記

エイヴォン記作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 講談社発売日: 1989/08メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る私はこの本が、とても嬉しかった。子どもが大人になって、子どもを産んでまたその子どもが大人になって、そしてまた子ど…

懐かしきオハイオ

『懐かしきオハイオ』 1991年 文芸春秋刊 前に読んだ『シェリー酒と楓の葉』の10年後に書かれた、続編。 これはロックフェラー財団から一年間の米国滞在の機会を与えられた私が、戸数二百、人口六百のオハイオ州ガンビアの、「白塗りバラック」と呼ばれる…

明夫と良二

明夫と良二 (1980年) (岩波少年文庫)作者: 庄野潤三,安西啓明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1980/10/23メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見るすごく「のびやか」な本だ。庄野さんは、ご自分がお好きな本を紹介する時や、フーちゃんのお習字を…

鉛筆印のトレーナー

鉛筆印のトレーナー作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 福武書店発売日: 1992/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るずっと、本当に欲しくて欲しくて、手に入れた本。嬉しい。なんてすてきなタイトルだろうと、ずっと思っていた。フーちゃんを題…

散歩道から

散歩道から作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 講談社発売日: 1995/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るずっと読みたくて、それに手に入れたいと思っていた本。本当に綺麗な本だ。 猪熊佳子さんの「緑の谷へ」という絵が表紙に使われている。…

クロッカスの花

クロッカスの花 (1970年)作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 冬樹社発売日: 1970メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る横に線を引いて、心の中にしまって、いつまでも覚えていて、必要な時にはとり出せるように、そういうふうにしておきたいと思う文章…

誕生日のラムケーキ

誕生日のラムケーキ作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 講談社発売日: 1991/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見るこの本のタイトル「誕生日のラムケーキ」は、庄野さんの誕生日に、南足柄に住む長女の夏子さんが作って、送ってくれるラムケーキ…

孫の結婚式

孫の結婚式作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見るおいしいものを食べたとき、一瞬だけ口に広がる風味のように、ふわっと拡散してさりげなく消えていく幸福。庄野さんの本には、それに似た…

さくらんぼジャム

さくらんぼジャム作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1994/02メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (6件) を見るフーちゃんのお話。以前図書館で借りて、半分まで読んだのだけれど、忙しくて最後まで読めず、そのまま返してしまった。そ…

シェリー酒と楓の葉

シェリー酒と楓の葉 (1978年)作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1978/11メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見るこの夏休みに、2回読んだ。 理由。このお話の舞台はアメリカのオハイオ州ガンビアで、登場する人物名はいろいろな国の、…

鳥の水浴び

鳥の水浴び作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 講談社発売日: 2000/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る庄野さんの、晩年の日常を綴った作品を読むのは、久し振り。 時間が経って、このシリーズに帰ってくると、本当にホッとす…

せきれい

せきれい作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1998/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るせきれい (文春文庫)作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/01/07メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (25…

ピアノの音

ピアノの音作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る この本は、私が今まで読んだ(数は少ないが)庄野さんの作品の中で、奥様への愛情を一番感じた。それはやっぱり、タイトルにもなってい…

野菜賛歌

『野菜賛歌』 1998年講談社刊 印象に残ったお話。『じいたんのハーモニカ その後』 いろいろな本で登場する、一日の終わりのハーモニカのこと。毎日毎日、日課として、そのときの季節に合った曲を吹く。私はいつもいつも、そのことを読むと、なんて呼吸の合…

山田さんの鈴虫

[rakuten:book:12332388:detail] まず、装丁から。 この表紙の青は、とっても綺麗だと思う。ずっとパソコンの画面などでしか見たことがなかったので、この本を実際に手にとったときは、嬉しかった。そして思った。綺麗だなあと。 『山田さんの鈴虫』色だ。勝…

庭のつるばら

庭のつるばら作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1999/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る この『貝がらと海の音』以降の夫婦の晩年を描いた作品では、繰り返して述べる事柄が多い。 例えば、「かきまぜ」のこととか、「カプリ…

インド綿の服

インド綿の服 (講談社文芸文庫)作者: 庄野潤三,齋藤礎英出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/04/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る この本を読むのは2回目。 「貝がらと海の音」で庄野さんの作品と出会って、多分…

絵合わせ

絵合せ (講談社文芸文庫)作者: 庄野潤三,饗庭孝男出版社/メーカー: 講談社発売日: 1989/06/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (16件) を見る 家族の誰かが出て行ってしまう前の、寂しいような、でもそれを認めたくないような、 …

うさぎのミミリー

うさぎのミミリー作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/04/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 私はパンがそんなに好きではなかった。 でも、このところ続けてパンを食べている。それも、ヴィ・ド・フランスの金時豆パン。 …

おもちゃ屋

おもちゃ屋 (1974年)作者: 庄野潤三出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1974メディア: ?この商品を含むブログ (1件) を見る 私は私の大学の図書館が好きだ。 満足してるとか、たくさん本があるとか、そういうことではなくて、「好き」という一言で 片付く…