さくらんぼジャム

さくらんぼジャム

さくらんぼジャム

フーちゃんのお話。

以前図書館で借りて、半分まで読んだのだけれど、忙しくて最後まで読めず、そのまま返してしまった。それから忘れていた。
この本では、フーちゃんは6歳。幼稚園を卒業して、小学校に入学する。

机を買ってもらう。おばあちゃんと遊ぶ。新しい洋服に袖を通す。髪の毛をピンでとめる。
海で泳いで疲れる。盆踊りを楽しむ。練習した楽器を演奏する。風邪で熱を出す。
塗り絵が上手になる。引越しをする。ピアノを指一本で弾く。おなかがすく。
手紙を書く。セーラームーンを見る。牛乳を飲む。遊ぶ。

私が経験したことも、経験していないこともどちらも、この本に書かれているフーちゃんの
毎日が、懐かしいものに思えてくる。

そしてそれが、すべて庄野さんというおじいちゃんから見たものだから、素晴らしいと思う。
幸せだと思う。フーちゃんは、幸せだと思う。

座っている庄野さんのそばに、フーちゃんと弟の春夫くんが恐る恐る近づいていって、庄野さんがいい頃合のときに両手をがっと上げておどかす遊びが良かった。何回も繰り返すのがいい。

あと、南足柄の夏子さんの末っ子の正雄くんが作った「にんにくの大ぼうけん」シリーズは、
いつも思うが、とても完成度が高い。あらすじしか知ることはできないけれど、いつもそう思って感心する。子どもの発想は豊か。とてもあんな話は、今では作ることができない。

秋だからかな。フーちゃんのころに、無性に戻りたくなって、悲しくなった。