最近の絵本のこと、その3

はじめてのおるすばん (母と子の絵本 1)

はじめてのおるすばん (母と子の絵本 1)


私がこどものときに、とても好きだった絵本。
大学生のときに、作者のしみずみちをさんの
講演会をきく機会があって、懐かしくなって
その後購入したのを覚えている。


この間実家で手にとって、娘と読みたいな、
と思って持ち帰った。
「ことし3つのみほちゃん」が、初めて
お家でお留守番をすることになったお話。
一人ぼっちが心細くなってきたところに、
立て続けに来客(郵便屋さんや、新聞屋さん)が
来て、震え上がるみほちゃんにキュンとくる。


たしか講演で、核家族化が進んだことと、
集合住宅に住む家庭が増えたことが
この絵本を作るきっかけになった、と
話されていた気がする(記憶が正確かは
自信がないが…)
その結果、共感するこどもたちも多くて
広く受け入れられたのだろうな。


私も団地育ちで、みほちゃんみたいに
ドア一枚隔てた来訪者が少し怖かったり、
母は働いていたから、お母さんが帰ってきた
ときの喜びも、すごくよくわかった。


「ことし3つのあーちゃん」である娘も、
まだ1人きりの留守番はしたことがないけれど
いろんなことを共感しながら楽しんでいるみたい。
想像以上に気に入って、みほちゃんが
くまのぬいぐるみに絵本を読んであげる場面を
真似して、モーモーバイクに読み聞かせをしていた。


娘も、そして小さい頃の私も、
いちばん大好きなシーンは、お母さんがお土産に
買ってきてくれたプリンを食べるところ!
というより、その前にプリンが入っている
紙包みを見た時点でテンション最高!
素晴らしいご褒美だ…とうっとりしていた
記憶がある。


このプリン、私が想像していた味は
いつも現実に食べるプリンを遥かに超えていて、
今でもプリンを食べるときには、
この絵本を見ながら心で食べていた味に
出会えるか、そっと期待している気がする。


そして同じようにうっとりプリンの絵を見つめる
娘を見ながら、どんな味で食べているんだろう、
と想像して、幸せな気持ちになっている。


ちなみに郵便屋さんが届けにきた荷物は
おばあちゃんが送ってくれた栗らしく、
これで栗ご飯作りましょう、とお母さんが
言うシーンがあるのだが、その「栗ご飯」
というワードにも(ワードだけにもかかわらず)
うっとりしていた記憶がはっきりある。
プリンと栗ご飯と、帰ってきたお母さん。
至福の読書体験だったんだ。

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今日の夕飯はおでん。
皿に盛りつけた具の上からつゆをかけて
いたら、娘に
「なにをかけたの」
ときかれて、
「おつゆだよ」
と答えたものの、我が家の生活の中で今まで
なぜか「おつゆ」という言葉を使っていなかった
ことにきづいた。
「おつゆってわからないかな、えっと…」
と説明しようとしたら、
「ええっとね、ええっとね、おうたであったでしょ、
おかあさんといっしょでうたってたでしょ、
わかめのおーつゆ、って」
と娘が一生懸命教えてくれた。
「あさごはんマーチ」。娘も私も好きな歌。
何だかしらないけどいたく感動して
娘を抱きしめてしまったのであった…
私の思考の外にあることを、娘がしっかり
覚えていたり、通りすぎてるようで心に
留まっていることを知ると、ぐっとくる。
親バカ甚だしいが、たまにこういうときがある。


この歌は、クインテット宮川彬良さん作曲。
歌詞も曲も楽しくて、元気が出る。
「しっかりたべよう あさごはん」
というところ、「あさごはん」を娘の名前に
して、箸の進みを促す替え歌にして食卓で
歌っている。