おうた

週末は実家で過ごした。
今日、夕方の帰り道、娘を抱っこして、冷たい雨の中
家路を歩いているとき、元気が出るように、
そして娘の退屈が紛れるように、
「あーちゃん、お歌を歌って」
とお願いしたら、快く引き受けてくれた上に、
家に着く少し前くらいまでずっと歌ってくれた。
とても勇気づけられて助かった。


娘は最近歌うのが好きで、機嫌が良いときは
「お歌 歌って」
の「て」のすぐ次の瞬間には歌ってくれる。
こういう、渋らず何でも気持ち良く引き受けて
くれるところは、母親と似ていない。
物事をありのままに、自分で拡大も縮小もしないで、
何でもないことのように面倒くさがらずできる人に
なって欲しい。


帰ってすぐ、娘はまだビショビショの上着を着たまま
だるまちゃん絵本を読もうとしていた…。
子どもってすごいなと思った。


娘は夕飯のおかずを早く食べたがって癇癪を起こした。
そのあと、食後に機嫌を直して一人で絵本の
ところに走って行った娘を見て、夫婦でしみじみ話した。
「子どもは元気がいちばん」
「そうだな。去年の今頃は大変だったからな。
それに比べたら、文句言ったらバチあたるな」
そう、入院が続いていたり、引っ越しでバタバタしていた
去年に比べたら、なんてのんびりと幸せなことか。
そう思えるのも、あの時の3人がいたから。
もっともっと大変な思いをしている人はたくさんいると思う。
でも、私たちにとっては、忘れがちな今の平穏さを
思い出させてくれる大きな山のような思い出。
そして時の流れに感謝する。


寝る前、ダッフルさんのお母さんにもらった
童謡が載っている歌の絵本を娘が持ってきて、
私に歌ってくれと頼む。


「おやまの なかゆく きしゃポッポ」
の「きしゃポッポ」を歌ったら、
「もっか~い」(もう1回)
とお願いされ、5回連続くらい歌わされた。
息があがる歌なので、走った後のようになった。
でも大好きな歌だ。


やぎさんゆうびん」も歌う。
そして、この曲はエンドレスに歌い続けられる歌詞なので
まだ赤ん坊だった娘を抱っこして、延々とこの歌を
歌いながら部屋を歩き回ったことを思い出した。
あの頃は、寝かしつけに子守歌を歌っていた。
あの気が遠くなるほど歌ったたくさんの歌たちは、みんな
自分を励ますためのものだったと思う。


そしてダッフルさんに
「懐かしい!あの頃の私の横には常に、
温かいほうじ茶と焼きいもがあったね!」
と話した。ダッフルさんも思い出していた。
もう、2つ前の冬となった。
娘が生まれたての、まだ母乳しか飲めない赤ん坊だった冬の思い出。
これも大切にしたい。