父と子の時間



娘の風邪はすっかり治った。
しかし、なぜか夜寝ない日々が続いた。
いつも寝る時間になっても寝ない。
ねばっても無理だったので、眠くなるまで遊ばせた。
3連休中のある日、ダッフルさんが抱っこひもで
外につれていってくれた。
帰ってきたら、娘は寝ていた。
両隣の駅を往復していたら眠ったらしい。
(駅間が短い)


次の日も娘は寝なかった。
今度は私が、と、ダッフルさんの真似をして
抱っこひもで同じように歩いてみた。
2往復近く歩いたけれど、娘はまったく寝なかった。
翌日には、強烈な肩こりに襲われた。
今も肩こりは治っていない。
もう二度とやりたくない。


夜の街を歩きながら音楽を聴きたい。
これは産後の願い。
娘を寝かしつけるついでに、やっと念願かなって
音楽を聴きながら歩いた。
(危ないので、イヤホンは片耳だけ、小さな音で)
娘は抱っこされながら、片方の垂れたイヤホンを聴診器にして、
私の胸をポンポン言ってたたき続けていた。



ダッフルさんは、3連休に娘とたくさん遊んでくれた。
平日はなかなか会えないので、と張り切って。
祝日の月曜日は、午前も午後も長い時間2人でデートに出かけていた。
帰ってからも、長い時間かけて2人でお風呂に入っていた。
こちらは助かった。


午後の外出は、買いものを頼んでいたこともあり、
なかなか帰ってこないので、どうしたのだろうと思っていた。
図書館に行って、買いものした後、川にかかる橋を見に
自転車で遠出したとのことだった。
「なかなか帰ってこないから、心配した?」
と、キラキラした顔できかれたので、何も言えなかった・・・。



連休中、特別にお子様ランチのお弁当を食べた。
私も食べたかった。
お子様ランチを手で食べるって、すごく魅力的なことだなあと思う。

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連休が明けて、久しぶりの2人の生活。
今日は夕飯の支度中にお腹が空いたのかぐずりまくっていた。
お麩の戻す前のものをかじらせると、嬉しそうに食べていた。(好物)
しかし、食べ終わると何度も
「おふー」
と取りにくるので、イライラして怒ってしまった。
罵声をあびせながら、娘の食べるオムライスにケチャップで
だるまの絵を描いている自分に気づいて、一人キュンとした。



娘、最近のブームは「ある」「ない」。
何かを探しながら「ないねー、ないねー」
「あったあった!」と言うのが好き。


今日は夕飯のとき、なすのみそ汁を一緒に食べていたら、
先に空になった私のお椀を見て
「かーしゃん、なす、ないねー」
と言った。そのあと
「あーちゃん、なす、いっぱい、あるー」
と言った。
その後、また私のお椀を指さして
「かーしゃん、なす、いっぱい、ないねー」
と言われた。


オムライスのチキンライスをぺろりと平らげて、まだご飯が欲しいと
言うので、白米をお椀に盛ってあげたら、喜んで食べ始めた。
しかし手が止まり、
「・・・あかい まんま、ないねー」
と悲しげに言われたので、ケチャップをほんの少しつけてあげたら
大笑いして平らげていた。幸せな顔を見た。

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表情やしぐさがどんどんはっきり、しっかりしてきて、
人間らしくなっていく。赤ちゃんじゃなくなっていく。
そうすると、自然に
「自分と違う人間なんだなあ」
と思う。考えてることも、したいことも、好きなことも自分と違う。
そう思ったら、私の思い通りにならなくても仕方ないんだよな、と思う。
だってたとえば同じ、自分と違う人間の、自分の友人と、
お昼ご飯を食べようと思ったら、
「お腹空いてる? 何食べたい? あ?眠い?あとにする?」
とか、いろいろ確認しあってすると思う。
自分の段取りと違ってイライラしたり、娘のしたいことを困って
嫌がって、怒る娘にまた困って、と言うのは、やっぱり自分と違う人間だという
ところが、抜けているからなのかなあと思う。
でもやっぱり、違う人間だけど、ご飯も着替えも寝起きもお風呂も、
母親の手を借りなければできない生活なのだから、多少はやむを得ないと思う。
一心同体で、お互いの気持ちが押しつ押されつする時期は、あとどのくらい
あるのだろう。あとどのくらいしかないのだろう。
ギュッと抱くと全身がやわらかいから、
まだまだ赤ちゃんらしさが残っているな、
それはきっととても幸せなことだな、
そう思ったりもする。

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大好きなてんぐの魔除けの置物。
実家の母から、旅行のお土産でもらったときは
どうしようかと思ったが、いまでは娘のお気に入りに。
てんぐ好きになるきっかけにもなった。


寝る前には、布団をかけて、トントンたたいて
寝かしつけをしてあげている。
朝起きたら、「てんぐさん、おっき!」と起こしている。
私はてんぐの隣りで毎晩寝ている・・・。


娘も、トントンたたきで眠ってほしいものだ。