うけた

定本育児の百科

定本育児の百科


妊娠中に、実家の父がふと、石田ひかりの『まあるい生活
という、妊婦時代の日記とエッセイをまとめた本をくれた。
古本屋で買ったとのことだった。
妊娠中は、その本を何度も読んだ。
その中で、石田ひかりが「私のバイブル」と紹介していたのが上記の本。
産後、いつだったか古本で購入した。
内容はかなり古く、とくに離乳食などの情報はかなり前のもので
今に当てはまらないことも多いけれど、文章がとても面白く、
読み物として読むのが楽しい。載っている赤ちゃんの写真もかわいくて、
見ていると心や目頭が熱くさえなってくる・・・。
赤ちゃんの発達や病気などについて淡々と書かれているのだけれど、
ところどころ面白みのある表現や言い回しがあって、あたたかい感じがする。
とにかく、いろんな赤ちゃんがいて、それはどれもその子の個性だ
ということが何度も出てきて、ホッとする。その考え方で書かれている本と言ってもいい。

雑誌に載っているような凝った離乳食や刺繍を長時間かけて作るより、
赤ちゃんと遊んだり外に出たりした方がよっぽどいい、というような
スパッとしたことも書いてあって、気持ちがいいし、ホッとする。


月齢の節目に、その月のページを読むのを楽しみにしている。


この間、ふと「11ヶ月から満1歳まで」という項を見てみたら、
「お誕生日ばんざい」というタイトルのところがあって、読んで
ジーンとしてしまった。


個人的なメモとして、長いが引用してみる。


「誕生日おめでとう。
 1年間の育児で母親としておおくのことをまなばれたと思う。赤ちゃんも成長したけれども、両親も人間として成長されたことを信じる。
 1年をふりかえって、母親の心にもっともふかくきざみこまれたことは、この子にはこの子の個性があるということにちがいない。その個性を世界じゅうでいちばんよく知っているのは、自分をおいてほかにないという自信も生まれたと思う。その自信をいちばん大切にしてほしい。
 人間は自分の生命を生きるのだ。いきいきと、楽しく生きるのだ。生命をくみたてる個々の特徴、たとえば小食、たとえばたんがたまりやすい、がどうあろうと、生命をいきいきと楽しく生かすことに支障がなければ、意に介することはない。小食をなおすために生きるな、たんをとるために生きるな。
 小食であることが、赤ちゃんの日々の楽しさをどれだけ妨げているか。少しぐらいせきがでても、赤ちゃんは元気であそんでいるではないか。無理にきらいなごはんをやろうとして、赤ちゃんのあそびたいという意思を押さえつけないがいい。せきどめの注射に通って、満員の待合室に赤ちゃんの活動力を閉じこめないがいい。
 赤ちゃんの意思と活動力とは、もっと大きな、全生命のために、ついやされるべきだ。赤ちゃんの楽しみは、常に全生命の活動のなかにある。赤ちゃんの意思は、もっと大きい目標に向かって、鼓舞されねばならぬ。
 赤ちゃんとともに生きる母親が、その全生命をつねに新鮮に、つねに楽しく生きることが、赤ちゃんのまわりをつねに明るくする。近所の奥さんは遺伝子のちがう子を育てているのだ。長い間かけて自分流に成功しているのを初対面の医師に何がわかる。
 『なんじはなんじの道をすすめ。人びとをしていうにまかせよ。』(ダンテ)」


p431 「311 お誕生日ばんざい」より

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徹子の部屋」の上半期総集編で、「消臭力」のCMのミゲルくんが
好きな日本食をきかれて
「しゃぶぅ?・・・しゃぶ!」
と答えていたのがかわいかったので、ベビージムで遊んでいた娘に
物まねで同じように言ってみたら、動きを止めてキャハッと笑ってくれた。
うれしくて小鼻がふくらんだ。