幸せな時間

火にかけている鍋やフライパンの柄に、
腹がひっかかるようになった。
距離感がつかめなくてヒヤッとする。
気をつけようと思う。
自分の思っている以上に腹は出ていると忘れないこと。


この間、午後遅くなってから台所の掃除をしようとして
なかなかうまくはかどらず、しょんぼりした。
それに便乗して、なんとなく切ない心になってしまった。
そして、重い腰を上げてドラッグストアに新しく掃除グッズを
買いに行った。
帰ってきて、郵便受けを見たらダッフルさんの友人夫婦から
葉書が来ていた。
8月に2人目のお子さんが生まれたばかりで、その写真つきだった。
余白に、私たちの出産に向けてのアドバイスが箇条書きで
たくさん書いてあって(お風呂グッズはほとんど必要ないとか、
イライラして当たり前だよとか・・・)、それを読んだだけで
なんとなく泣けてきた。そして元気を出して台所を掃除して
きれいになった。思いがけなく励まされた気がした。
秋は切ない。

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■土手でピクニック

休日に、ダッフルさんと近くの土手にピクニックに行った。
午前中の検診を終えて、ダッフルさんが昼寝をしている間に
お弁当を作った。
巨大なツナのサンドイッチと、ジャーマンポテト
デザートは巨峰。
もうすぐできるという段階で、熟睡しているダッフルさんに声をかけ、
台所に戻ってお弁当を包もうとしたら、次の瞬間に
肩からカバンを提げたダッフルさんが
「帽子かぶっていったほうがいいな」
と言って側に立っていたのでびっくりした。
なんて寝起きがアクティブな人だろうと思った。
寝癖がついていた。


土手は良い天気で気持ちよかった。
つわりの期間、そしてその後の夏の期間は来られなかったので、
やっとピクニックできてとても嬉しかった。
あらためて、私のこの世でいちばん幸せな時間は、
お弁当を作って、土手でダッフルさんとピクニックすることだ、
とわかった。
大きくなったお腹の写真を撮ってみた。
(ちなみに今現在はこれよりもっとでかい)
ダッフルさんは本気でまた熟睡していた。
そしてトイレに行きたくなったらしく、寝起きはまたアクティブだった。


 

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■デイヴィッド・コパフィールド

今、岩波文庫ディケンズ作『デイヴィッド・コパフィールド』を読んでいる。
庄野潤三さんの本をずっと読んでいたのだが、その中の1冊
『せきれい』(文春文庫)の中では、庄野さんの奥様が
『デイヴィッド・コパフィールド』を読んでいて、その中に出てくる
シーンについて庄野さんに話し、それを庄野さんが作品の中で
紹介している。そのどのエピソードも心に残るものだから、
初めて読んでみた。そうしたら面白かった。
出てくる人がみんな、いちいちくっきりしている。
読み進むのが楽しみだ。

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■おいもに胡麻

ダッフルさんの実家に遊びに行った。
初めてタクシーで行ってみたら、快適だった。でもお金がかかった。
またおいしいご飯をたくさんいただいた。
卵焼き、手作りのちりめん山椒、じゃがいもと梅しそ炒め、
さつまいもの煮物、こんにゃくのピリ辛煮、
トマト・レタス・ベビーリーフのサラダ、トマトソースのポークソテー
いちご飯、お豆腐となめこのおみそ汁、梨など・・・。
至福のときだった。


ダッフルお母さん作のポークソテーが出てきたとき、ダッフルさんが
「お、久しぶりだな」
と言っていた。子どもの頃よく登場したメニューらしかった。
玉ねぎを炒めて、野菜ジュース(これがコツとのこと)と煮込み、
小麦粉をつけて焼いた豚肉をソースに入れて一緒に煮込むらしい。
おいしかったし、ダッフル家の食卓の歴史を感じた。


ダッフルお父さん作のさつまいもの煮物も絶品。
胡麻がふりかけてあって、おいしそう感が丸出しだった。
いくつもいただいてしまった。


参考にしようと、お宮参りや名付けのことをいろいろきくが、
「お宮参りしたかどうか全然覚えてない。
 名付けも、字画はまったく見ていない」
という回答だった。ダッフル家らしかった。


おめでたいことに、ダッフルさんのお兄さんの結婚が決まった
とのことだった。心がほわほわした。
ダッフルさんはしみじみしていた。
結婚式行くの楽しみだなあ。
ダッフルさんは男3兄弟だが、お嫁さんはまだ私1人だったので、
仲間が増える気がして嬉しい。私より年上だったのでホッとした。
なんとなく・・・。


 

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今日は検診。
赤ちゃんも元気で、体重もなんとか大丈夫だった。
貧血などもセーフだった。逆子でもないらしい。
このまま順調にいってほしい。
ベテランの看護師さんがお腹をギューギュー触ってくれ、
「ここが頭ね。でこっちが背中・・・あれ? こっちが手足かな?
 あ、わかんないや。まだ微妙なお年頃だった!」
と言っていて可愛らしかった。
病院の看護師さんや助産師さんはみんなそれぞれの白衣を着ている
のだけれど(パンツスタイルとか、色もそれぞれ)、このベテラン看護師さんは
昔よく見たナース服(スカート)にナースキャップをつけていて
いつもそれがかっこいいと思う。


うちの母も昔はナースキャップをつけていたが、今は肩が凝るなどの
理由でつけないことが多いらしいときいた。
母はもうとっくの昔からつけていない。


今日もエコーで性別を(個人的に)判別しようと試みる。
「これはひょっとして男の子でしょう!?」
と思ったが、その後、お腹のジェルを拭くときに看護師さんが
「今日の体勢はわかりづらかったね〜」
とこっそり言ってくれて、あ、わからない体勢だったのか・・・と思った。


先日、コジコジ女史とやさしさ女史と晩御飯を食べたが、
そのときやさしさ女史に
「女の子だと思う」
とまたもや言われた。本当にどっちだろう。