偉いぞ!

ジャージの二人

ジャージの二人

この間、なんとなく全然関係ない本が読みたくなった。


生活とか、勉強とか、読み途中とか、そういうことと関係ない本。
本を読むっていうことだけ楽しむ本をなんか読みたいなーと久々に
思って、本棚(という名の本置き場)から選んだのがこの本。
何度読んでいるかわからないが、やはり良かった。
夏の終わりということで、雰囲気にも合っていた。


これを読むと、長嶋有って本当に上手だなあと思う。
文学的なことを批評する術を持たないのでうまくいえないが、
とにかく上手だなあと思う。
そして、いつも何度読んでも胸を揺すぶられる。
自分自身も、夏休みのにおいになる。
何かから助け出されるような本。



つわりの時期にも、こういうふうに本を選んだことがあった。


つわりとは、長く暗いトンネルだという表現をいろいろなところで
目にしたが、本当にそのとおりだった。
幸い入院したりするようなことは全くなかったが、つわりの時期を
必死に淡々と過ごす(というか、こなす)日々の中で、
気持ち悪いのになぜか読みたいのは食べ物の本だった。


そしてダッフルさんの本棚(ダッフルさんはちゃんと本棚を持っている)
から食べ物関係の本を拝借して夜な夜な読んでいた。
夜寝る前くらいじゃないと本が読めなかった。
「世界ぐるっと朝食紀行」(西川 治)や、椎名誠の本なども
読んだが、中でもいちばん心の支えになったのが東海林さだお氏の
本だった。


『偉いぞ!立ち食いそば』という文庫は、毎日楽しみに少しずつ
読んだ。駅弁「奥の細道」の旅や、立ち食いそば店の全メニュー制覇
など・・・。なんでだかわからないけど、そのスタンスがとても心強かった。


そしてダッフルさんの本棚に多く並んでいて、食べ物について書く
ことが多い作家の中で
小泉武夫椎名誠、ショージ君と誰がいちばん好き?」
(この時点で1人だけ呼び名が軽い)
とダッフルさんにきいてみた。
絶対に、敬愛する小泉武夫氏だろうなあと思っていたら、意外にも
東海林さだお!」
と即答だったので驚いた。
なんで!? でもなぜかとてもよくわかる! と思った。
そしてなぜか胸がキュン!となった。夫にときめいた。


そんな遠い日、つわり期の良い思い出。


偉いぞ!立ち食いそば (文春文庫)

偉いぞ!立ち食いそば (文春文庫)