文化の日

月曜日の夜、仕事が終わって会社を出た後に、
朝「今日は遅くなる」と言っていたダッフルさんに
月がきれいだよー!」
とメールして電車に乗ったら、30分後くらいに
「もう会社を出てしまった」
というメール。
電車を降りたらとてつもない寒さと雨に遭遇して、私はいったん家に帰り、
ダッフルさんのダッフルコート(今冬初)と傘を持って
駅に戻り、ダッフルさんを迎えたのであった。
駅で誰かを待つって楽しい。
たくさん人が改札に出てきて、この電車かな、あ違った次だ、
あ違った反対方向だ、って思ったりするのって楽しい。


最初はいぶかしげにしていたダッフルさんも、寒風に打たれて
「なるほど上着が必要だ!」
といってくれたので嬉しかった。こういうときって、本当に気持ちいい。


最近できた近所のラーメン屋に入る。
魚と貝の出汁で作ったというあっさりとおいしいラーメンをいただく。
私にしてはめずらしく、誰にも助けられずに完食した。
おいしかった。芯から温まるとはこのこと。
お店の人も、感じが良くて、真摯に仕事をしている感じがして良かった。
ごちそうさま。
住民税をコンビニで払って帰る。




火曜日の今日は、文化の日でお休み。


上野駅公園口で、父・母・姉と待ち合わせ。
上野公園で開催されていた、陶器市というのに出かける。
姉の呼びかけで母が集い、母の呼びかけで私が集い、父も参加、という形。
思いがけず家族4人で久々の外出。昨年末の旅行と、私の結婚式以来か。
精養軒で父にご馳走してもらう。
私は急いでメニューを見て、洋風の中華丼だという「チャプスイ」という
料理を頼んだ。
頼んだ店員が遠ざかった瞬間から、
「なぜめったに来ないお店で、またしても変り種を頼んでしまったか。
 なぜハヤシライスやオムライスを頼まなかった」
と後悔した。
姉からも
「あんたのチャプスイ遅いね」
「頼んだのなんだっけ? チャプスイ?」
とからかわれるのを耐え忍んで待った。


おいしそうなオムライスを食べる姉、牡蠣フライを食べる母、
茸のクリームパスタを食べる父を横目になんとなく自信をなくして
食べたチャプスイは、意外とおいしく、食べ続けて最後にはやみつきであった。
おすすめチャプスイ。


家族4人で久しぶりに外食をして、楽しかった。
そわそわする不思議な感じであった。


腹ごしらえのあとは、メインの陶器市へ。
佐賀県の物産展もやっていて、母はのっけからじゃこの味見をし、
めかぶの味見をし、買い込んでいた。どれもおいしかった。
そして陶器市。
姉は器好きで、買い込むためにサブバッグを持ってきたほどの入れ込みよう。
うちの家族は4人ともマイペースで、好き勝手動くのだが、こういうときほど
本当にその特性がよくわかる。
父などは、ものすごいスピードで見て回って、いち早く飽きて外のベンチで
焼き芋を食べていた。


姉は人が見過ごすようなものを見つけて、可愛い、これ可愛いと
いちいち私に教えてくれたが、どれも本当に可愛かった。


母は、普通の器ではなく、直火でステーキや魚を油なしで焼ける大きな陶器の皿を
買っていた。実演販売に釘付けになっていた。
実演を無言で見終わった後、
「よし、私は今日はこれだけでいい」
と言って買っていた。重い皿だった。
この皿は、調理後にそのまま器として食卓にも出せるという。


私はというと、いろんなものに目移りするのだが、
実際に買おうかという段になると、
「やっぱり・・・やめた」
としり込みして、結局買わない、というパターンを繰り返した。
または、ものすごく小さな額のものをほわほわと選ぶという感じ。
私はこういう買い物天国な場所に来ると思い出したいこと「何が本当に今必要か」
を必死で考え、焼き魚を盛る皿だと思い当たった。
焼き魚用の皿は、ダッフルさんが独身時代に購入した1皿しかなく、
私は普通の丸皿を使用しているため、私の分のさんまだけ、
丸1匹のときは皿からはみ出してえびぞりしているという感じだった。
なので、買うとしたら焼き魚用の平皿が欲しいと思った。


それでいくつか見つけて、いいなと思ったりしたが、
なかなか買うに及ばず、あきらめて市を出て、父の元に向かった。
父の食べていた焼き芋がおいしそうで、私も並んで買った。
好きなのを選べて、前の人が半分買っていったその半分の芋を選んで
購入した。100円だった。心底おいしかった。
父の横でもくもくと食べる。
父と、私の住む街の紅葉の話、お歳暮の話などをする。

 




まだ市を見ていた母と姉が帰ってきた。
母が
「ほら、買ってきてあげたよ」
と言って、私が迷ってやめた焼き魚の皿を買ってきてくれた。
「ありがとう!でも悪いよ・・・」
と言うと、姉は土鍋を買ってもらったことが判明。
ならばと受け取った。うれしい。生活がプラスする。


姉は他にも、可愛い茶碗を買っていた。



その後、不忍池まで散歩した。
きらきら秋の日を受けてきれいな景色だった。
今日はとにかく寒い日だったが、陽だまりが暖かい。
冬の中の暖かさはこういう感じだったと思い出すひと時だった。
父が知らない通行人の方に声をかけてくれ、記念写真を撮ってもらう。
年々、4人揃う写真が貴重になるものだ。
一緒に暮らしていた頃は、4人揃って写真を撮ることなんてほとんどなかった。


 



帰ってから、父が買ってくれた佐賀物産展のお菓子を開けて、
コーヒーを入れて一服。
佐賀県にある「嬉野 栄城堂」というお菓子屋さんの栗まんじゅう。
栗がまるごと入っていておいしかった。


なんといってもパッケージが可愛い。
なんて愛くるしいのだろう。






可愛い包装紙を開け、可愛い箱を開けて、さらに可愛い箱を開けたら
こんなにおいしそうな栗まんじゅうが出てきた。
幸せを感じた。


前の会社で仕事中のお茶のために使っていたモランのカップ
退社後に持ち帰ってからなんとなく1度も使っていなかったのだが、
持ち出してコーヒーを入れてみた。懐かしかった。


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さて、日曜にダッフルさんの部屋の押入れを片付けたのだが、
そのときに出てきたのが、この家に引っ越してきたときにダッフルさんが
使用した引越し用のダンボールであった。
また引っ越すときに使うから、という名目でとってあった箱たち。
それらをまとめて捨てた。
このダンボールが、斜めになったりして押入れに入れてあったのだから、
かなりのスペースになっていたのだ。


捨てる段になってよく見てみたら、中に入っているものを書いてあるところが
愛らしいので記念に写真に撮っておいた。
最初に細いペンで書こうとしてあきらめて、太いペンで書いたのだなあと
いうことがわかる「本」のダンボールと、
「プレステ・当座小物」と書いてあるダンボール。
一瞬、「プレステ」の文字がが「プロレスラー」に見えて目をこすった。
そしてなんだろう。当座の小物って・・・。
ちなみに衣服よりも、本のダンボールのほうが断然多かった。
懐かしいダッフルさんの家の思い出よ、また1つさようならだ。


 



夕飯は、父の買ってくれた木でできたカップに入れた
白菜とベーコンのコンソメスープ。
そして母の買ってくれた皿に盛り付けたさんまの塩焼き。
そしてほうれん草となめこの和えものであった。


 



ダッフルさんは今日、古武道を習っている友人の演武を見に
出かけたそうだ。別々の1日を過ごし、夜は同じご飯を食べ、
同じ場所に帰るということを感じた1夜であった。


洗濯機も3回まわせたし、あふれかえった廊下も少し片付けられたし、
ご飯も作れたし、家族とも会えたし、
悔やむこともあるけれど、今日は良い1日だったと思うことにしようじゃないか。


明日水曜日って不思議だな。