きのこ汁

とても寒い雨の1日。
お昼ごはんを買いに行くためエレベーターを待つが、
10台以上待ってもいっぱいだったため、階段で降りた。
待っている人たちがみな口々に


「雨の日はねー・・・」


と言っていたが、なぜ雨の日だとエレベーターが混むのだろうか?
よくわからない。
口にした人たちも、みなそのことを言った後黙っていた。
「なぜ雨の日だと?」
と、各自同じように疑問に思ったのかもしれない。


お昼ご飯にいつものパン屋さんで買ったあんパンを食べたら
とてもおいしかった。半分だけ食べて持って帰った。


くしゃみ女史は、1歳になる娘さんを区の保育園に入れるため、
面談に行くそうだ。面談ってどういうことをするのかきいたりした。
今は無認可の託児所に入れているが、保育園に入れたら10分の1くらいの
負担で済むようになるとのこと。それってすごい。
でも初めてなのでドキドキするとのことだった。
いいところだといいですね、という話をする。


夜、会社から帰ってから、おばあちゃんが作った栗の渋皮煮を食べて、ムーミン
読みながらなんとなくごろごろしていたら、ダッフルさんが思いがけず早く
帰ってこられるという連絡がきて、慌てふためき、
急に台所が中華料理屋の厨房みたいになった。
または、「王様のレストラン」で千石さんが1人店を開けた回みたいになった。
やっぱり「ちょっとひと休み」は手強い敵だ。


仕事から帰ってから、ちょっと毛布にくるまってじっとしていたら、
中学生くらいの頃を思い出した。
寒い日に学校から帰って、こたつに入ってぬくぬくとテレビを見て、
お菓子を食べたり本を読んで、父や母の帰りを待っていたとき。
ご飯を作って待っていればいいものを、本当に自由に過ごしたなあと思う。
でもあの、いつ寝てもいいし、寝なくてもいいし、もうすぐ誰か帰ってくるし、
夜には見たいテレビも聴きたい音楽もあって、すごく気持ちのいい夕方の感じを
本当に幸せだったと思う。たくさん悩み事もあったけど。


今日の私は寝なかった。もう28歳だしな!
王様のレストラン」で言えば三条政子と同じ年だしな!
土日に寝すぎて泥になったしな!


夕飯は、鮭の塩焼き・ピーマンの梅おかか和え・かぼちゃの煮物。
納豆に、母からもらった辛子明太子。
そして、母からもらった巨大なめこで作ったおみそ汁。
冷蔵庫にあったので、ごぼうと里芋も入れた。
ごぼうをごま油でちょっと炒めて、なめこと里芋を入れて煮込んだ。
お味噌とネギを入れ完成。思いつきのきのこ汁だったが、
思いのほかおいしくて、体があったまった。


そして食後、ノルマと化した柿と梨。
これから毎日最低2つは食べる。食べ続ける。
躊躇したダッフルさんに、
「俺たちに休みはないんだぞ」
といい聞かせる。
もうすでに熟してきているので焦る。
スーパーで柿を買って帰る知らないおばさんを見て、


「柿なら買わなくてもあげるよ!」


ってよっぽど言いたかった。
売るほどあるって、こういうことを言うんだな。



なめこ汁を食べているとき、母からメールがきて、
なめこ食べた?おいしいでしょ」
とのこと。
「すごーくおいしい。今食べてる」
というメールを返す。
母は雨と風の中、家に帰っているところだということだった。


柿も梨も栗も、ダッフル家で喜ばれたと伝えた。