球磨焼酎

岳物語 (集英社文庫)

岳物語 (集英社文庫)

お盆休み。
ダッフルさんは9連休。私は3連休。
重なった3日間で、熊本のおばあちゃんの家に遊びに行った。


ちょうと母の帰省と重なったこともあり
結婚してから直接会う機会がなかったので、2人で出かけた。


ダムができたり、護岸工事されていたり、いろいろ変わることはあっても、
おばあちゃんちのあるあの山や町は、いつでもあのままで迎えてくれる。
小さい頃にいた景色に、ダッフルさんが一緒にいて、ヤマメのつかみ取りをしたり、
流しそうめんをしたり、バーベキューをしたり、
鹿刺しを食べたり(本当にびっくりするほどおいしいんですよ皆さん)
山の水をくんだり、散歩したり、本当に不思議で楽しい3日間だった。


おばあちゃんはとても元気そうでよかった。
目もよく見えるし、耳もよくきこえるし、動きも早いし、頭の回転も速い。
記憶力もすごいし(20年前くらいに行ったアメリカ旅行の話をしていても、
地名がすらすら出てくる)、あそこにいた誰よりも若々しかった。
おばあちゃんのお気に入り乳飲料「ヨーグルッペ」をもらって、よく飲んだ。
おいしかった。

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その3連休の前日、仕事が終わってから、いつもはまっすぐ駅に向かうのだけれど、
会社を出たところで犬を散歩している人を見て、犬がかわいかったのでそちらの
方向に曲がって、そのまま手にしていたマウントレーニアのカフェラテを飲みながら
ぼうっと歩いて、職場近くの本屋さんに立ち寄った。


旅行先に持っていく文庫本を買おう、というなんともわくわくするアイディアが
1つ頭に浮かんで、じっくりじっくり吟味して選んだ。
最初に「買おう」が頭にあると、用心してしまったり欲が出たりして、なかなか
商品が選べなくなるが、このときもそんな感じだった。
結局、読みたいかどうかよりも前に欲しかったものとか、価値がありそうなものとか、
そういうものに手が伸びてしまったりする。
でも時間はある、そして時計は見ない、という気持ちを持って(どういうこだわり?)
そして何より楽しいわくわくする気持ちで本屋さんにいたら、あっという間に時間が
過ぎていった。そうだ、時間があって本屋さんに行くのって、すごく楽しいんだよな
っていうことを思い出した気がした。


いろいろ迷った挙句、出会ったのが上記の本。
ちょうどこの続編(しかも24年後という月日を経て)が出たということで、
これしかないと思い、手に取った。散々候補を出して、煮詰まっていたときの出会いだった。
集英社の文庫で、夏休みのキャンペーンをしているものだった。ストラップをもらった。
本屋さんを出たら、1時間半以上経っていて、月がとろけそうに大きくて、低くてきれいだった。
前日が、すっきりした満月だと、次の日こうなることが多い。オレンジ色の月だった。


読んでみたら、すごく面白い。本当に面白い。
岳くんのかわいらしさ、男の子の不思議さ、椎名さんの息子への溺愛ぶりと、不思議な距離感。
釣りやアウトドアの楽しい毎日、旅で離れて暮らす寂しさ、久しぶりに会った息子の成長、
どれも本当に、なんというか、稚拙さたまらない感想だけど、グッとくる。


椎名誠はダッフルさんも好きだから一緒に読めるな」


と思って買ったけど、実際ダッフルさんも楽しく読んでいたけれど、私のお気に入りになった。
今「岳物語 (続)」を読んでいるが、こちらも面白い。
この後、24年後の続編が待ち受けていると思うと、小躍りしたい、でも少し淋しい、
そんな不思議な心理。


いつか自分が子育てをして、子離れするべき時期がきたり、どんどん大きくなるわが子を
見つめていたら、こんな気持ちがするのだろうか、そう思って少しキュンとする本だ。


久しぶりに、本を読んでいることが面白いと、本を読んでいない時間に思わせてくれた。
思い出させてくれたというか。それから、この本は会社帰りの電車で、あとは寝る前の本、
時間が空いたときに読む本、と3冊の本を今読んでいる。本を読むって、楽しいね。
よかった。