優しかった時の 心取り戻せ

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)


ダッフルさんの部屋に転がっていたので手にとって見たら、
「今年読んだ中でいちばんの本。まだ今年終わってないけど」
と言われて、本腰で読み始めたら本当に面白かった。
今日はお風呂の中でも読んだ。


まだ読んでいる途中で、だんだん難しくなって頭の中が曇るけど、
でも読み進めたい。ぞくぞくする。数学者たちのロマン!!!


数学ってロマンなんだ。
まったくわからないなりになんとなくそう思う。



今日はまた大荷物を引っさげて実家から帰ってきた。
おおきなリュックと、おおきなトートバッグと、おおきな紙袋と、
肩からさげるちいさいバッグ。
リュックからは、バドミントンのラケットがはみ出していた。
さいころ使っていたのを、持って帰ってきたのだった。
土手でやるつもり。
シャトルがないので、買わなくちゃいけないが。


実家では、父が物を片付けていた。
いろんなものを出してきて、私に「捨てていいかどうか」
「バザーに出していいかどうか」の確認を迫っていた。
その中に、私が小学生のときに買ってもらった操り人形があった。
オルゴールにもなっていて、自動で身体が動く。手動でも動かせる。
母と少し遊んだ。
でも私がしつこく母に人形をくっつけたり、握手を求めたりしていたら、
あきらかに母が飽きたらしく、愛想笑いをしたり困った顔をしたり、
楽しんでいるふりをしたりしていたので、それが可笑しくて笑えてきた。


この人形、私が運動会で操り人形をモチーフにした踊りをしたときに、
操り人形が欲しくなって買ってもらったものだ。懐かしかった。




実家に帰ったら、姉からの手紙を母に手渡された。
先週、私から送った手紙の返事だった。
何ヶ月も前に、江國姉妹のようにクウネルしようというようなことを
話していたのに、お互いぜんぜん手紙を出していなかったのだが、
気が向いて私の方からやっとスタートした。
今後、文通みたいになると楽しいと思う。


姉からの手紙には、姉の好きなちぎり絵?が貼ってあった。
雑誌のページを、何かの形に手でちぎってコラージュしてある。
旗と帽子と靴下。帽子には星がついていた。
それから、作業所の人が作ったという、手作りのコースターが入っていた。


姉は栄養士の資格をとってから、いろんな雑貨屋さんやカフェで
働いてきた。途中で調理師免許もとった。
もう長いこと料理やお菓子を作ったり、お客さんにサービスしたりして
働いてきたのだけれど、今年になってそれらを急に辞め、
福祉施設で働き始めた。
障害のある人たちの職業訓練施設で、作業の補助をしている。
今は通信教育でヘルパーの資格の勉強をしているという。
だいぶ年下の彼氏ができた・・・というのをきいてびっくり嬉しかった。


いろいろあってだいぶやせっぽちになったから心配していたけれど、
忙しくも順調に楽しそうで少しホッとした。
考えてみれば、小さいころから好きだったことをずっと純粋にやり続けているのだ。
食べることも雑貨も、工作や手芸も。
好きなことを仕事にしてずっとやるって、すごいことだと思う。
いろいろお互いあるけど、がんばってほしいと思う。


手紙には、同封のコースターは作業所の人が機織りで作ったものだと
書いてあった。機織り!
すごい。色合いもとてもかわいくて、丁寧に作ってあった。
大事に使いたいと思う。




ずっとずっと書きそびれていたこと。
もうだいぶ前の話だが、ダッフルさんと土手に行ったとき。
土手のそばのフェンスのところに、すごくきれいな鳥がいて、立ち止まった。
頭が黒くて、首からおなかにかけて白とグレー、お尻から長いしっぽにかけては
とてもきれいな薄いブルー。なんておしゃれ!!
その鳥が3〜4羽いて、木に移ったりフェンスにとまったりしていた。
興奮した。


家に帰って野鳥図鑑を調べたら、オナガだった。
あれがオナガなのかー・・・と思った。
とてもきれいな鳥。また会いたいと思う。


その日はだいぶ歩いて、暑かったからなのかとても疲れて、途中でなんとなく
辛くなったのだけれど、ダッフルさんはずっと歌をくちずさんだりしていて
元気そうだなあと思った。
そのことを言ってみたら、
「なんか歌ってないと。気がまぎれるから」
というようなことを言っていて、ハッとした。
ダッフルさんは、洗濯物を干すときも、お皿洗いをしているときも、
なにかそういう作業をしているときはたいてい歌をくちずさんでいる。
歌が好きなんだなあと思っていたけれど、そうやることで気を奮い立たせている
のだろうか、と思った。


それはなんていうか、今頃なにを、というような間抜けな発見だけど、
感謝の気持ちと、見習いたい気持ちとが合わさったなんとなく神々しい気持ちであった。



それこそ「今頃なにを」であるが、そのことが思い起こされたのでやっと書いた。
オナガ目撃と、この帰り道の発見と、2つペアでよく覚えている。



今日は鶏のトマト煮を作った。
機嫌を悪くしながらサッと作ったのだけれど、ダッフルさんが
おいしがってくれて、良かった。ホッとした。