いちょうを見たのは今日のこと

ムーミン谷の十一月 (講談社青い鳥文庫 (21‐8))

ムーミン谷の十一月 (講談社青い鳥文庫 (21‐8))


ムーミン谷の十一月』を読み終わった。
なんていうさびしくて美しい本でしょう!!!
ムーミン一家のいないムーミン谷の家に集まった
スナフキン、フィリフヨンカ、ホムサ、ヘムレン、
スクルッタおじさん、ミムラねえさんたちの
つかの間の共同生活の話。


ムーミン一家に会いにムーミン谷に行けばきっとなにかが
変わって、うまくいくだろう、と思ってそれぞれやってきたのに、
そこにはムーミンたちはいなくて、もぬけの殻。
11月の雨の降る中、しかたなくみんなで暮らし始めて、
それぞれがそれぞれの問題を解決する道を見つけるまでの物語。


読んでるとすごくたまらなくさびしくなるけど、
登場人物のだれもが自分に思えて、しかも
とてもいとしく思えてくる。


すごいなあ。こんなお話を書いたトーベ・ヤンソンさんは
ほんとうにすごいなあ、と思う。


  
あんまり、おおげさに考えすぎないようにしろよ。なんでも、大きくしすぎちゃ、だめだぜ。


よくダッフルさんにも言われるけど、スナフキンもこう言ってた。
こう言われたのはホムサ=トフトだけど、私も言われた気がした。
そのほか、フィリフヨンカだって、スクルッタおじさんだって、ヘムレンさんだって、
みんなのことが自分のことに思えた。




さびしくて不安だけど、とてもきれいな11月を私も越えよう。


   秋になると、旅に出るものと、のこるものとにわかれます。
   いつだって、そうでした。めいめいの、すきずきでいいのです。
   でも、ぐずぐずしていて、とりかえしのつかなくならないうちに、
   どちらにするのか、きめなくてはなりません。




水曜日は会社から大荷物を下げて新居に行った。
鍋やら茶碗やらをつめこんだ紙袋を抱えて、電車で眠りこけた。


はじめて近くのスーパーで買い物をした。
油だとかお醤油だとかいろいろ買って、ご飯を炊いておみそ汁を作って、
大阪に出張に行ってたダッフルさんが帰ってくるのを待った。
引っ越してから、おうちで作ったご飯を食べるのは初めてだった。




今日はダッフルさんが着替えて洗濯物をすっかり干し終わって、
くつろいでしばらくするまで寝ていた。布団から出られない・・・。
起きたときに


「あ! ちょっと寝なおすつもりがこんな時間に!!!」


って感じを出そうと思ったけど、うまくいかなかった。


昨日の残りのご飯を食べて、ケーキ屋さんでコーヒーを飲んで
帰った。
道路沿いのいちょう並木がすごくきれいだったので、
その隣りの遊歩道みたいなところを歩いて駅まで行った。
会社の近くの木はぜんぜん紅葉していないので忘れてしまっていたけど、
こんなに木々がきれいになっているんだね!うれしいうれしい。
それともこの何日かで一気に色づいたのかな。
帰りの電車の中から見る木々が、急にどれも美しく見えた。


いちょう並木を見たとき、ちらっと口ずさんだ歌を「それ何の歌?」と
訊かれたので、「いちょう並木のセレナーデという歌だよ」と教えてあげた。
ダッフルさんは「ほう」と言っていた。


そしてなぜか、二人でまたユニコーンの歌いろいろを口ずさんで歩いた。


来月中旬までいろいろある予定が無事終わって、引越しも終わって、
落ち着いたら、本当に何もしない日を作ろう。本当に何もしないんだ。
縦のものを横にもしないんだ。私。その日は。
いつもしてないけど。


その日は、もう起きようって自分で思うまで起きないんだ。
あったかい布団でぬくぬくするんだ。
ダッフルさんに叱られるかもしれないけど。