八甲田山死の彷徨
- 作者: 新田次郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/02/01
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 60回
- この商品を含むブログ (100件) を見る
喫茶店においてあった「週刊地球旅行」のアルプスの刊を
見ていたら、スイスのクライネシャイデックというところに
記念碑があり、そこに
「アルプスを愛した日本の作家 新田次郎ここに眠る」
と書かれているということを知った。
一緒にいたダッフルさんに話したら、
「新田次郎なら本を持っている」
とのことで、貸してもらったのがこの本。
八甲田山でこんな悲惨な遭難事件があったこと、
全然知らなかった。震え上がって読んだ。
生き残った五聯隊の兵士が、英雄ともてはやされて、
やがてお酒におぼれて、奥さんに去られて、
町の居酒屋で若い男に
「なんだい、八甲田山の生き残りっていうのは」
といわれていた。
そこのところは、自分も含め、なんというか、
なんともいえないものだった。
ハッとするというか、それがすべてなのだろうか、というか。
「靴下を2枚重ねて履き、その上に唐辛子をふりまき、足を油紙で二重に
包んでから雪沓を履く」
っていうところを何度も繰り返し読んでいたい感じだった。
ものすごく安心できる文章だ。
さわ女は本当に素敵に見えて、抱きしめたいくらいだった。